思えば、小さな菜園を作りたくなった切っ掛けは、ヨーロッパで受けた印象が大きかったからかもしれません。
１０数年ぶりに訪れたイタリア。
１０数年前、現在の”妻”と一緒に巡った「ヨーロッパぐるり鉄道旅」
鉄道で巡るヨーロッパと言えば豪華なイメージがあるが、なんてことないバックパッカーカップルが外国人向けに販売されている格安鉄道チケットを日本で調達して、約一か月間自由気ままにヨーロッパをブラブラしたというもの。
フランス・ドイツ・イタリア・スイス。都会も観光地も山岳地帯も水辺のエリアにもとホントに思いつくままに移動した。当時はインターネットもまだ発達していなかったのでガイドブックや宿泊先での情報をもとに旅を進める。宿泊先の予約もメールではなく国際電話。電話代を気にしつつ、下手くそな英語で予約して、用件が伝わるとホッとしたものだった。
そんな初体験のヨーロッパ巡りの中でとても印象的だったのが、自然の美しさ。
ヨーロッパアルプスやスイス・レマン湖など雄大な自然はもちろんだが、日常の中にある”小さな自然”の数々に驚かされた。
街中にある庭園、アパートのベランダから覗く可愛いグリーン、あちこちで見ることの出来る小さな家庭菜園、定期的に開催されているファーマーズマーケット・・・
「生活の中に自然が根付いている」
そんな印象を強く受け、いまだにその感覚を味わいたくチャンスを伺ってはこの地に向かおうとしている自分がいる。
そして、２０１５年５月。ある人に会ってみたくてイタリアを訪れた。
まずはフィレンツェへ。
ちょうど近隣国の方の連休と被っていたようですごい人。。。
観光地ならではの熱気
フィレンツェ中央市場の２階には大きなフードコートが出来ていて、かなりの混雑ぶり。
まるで巨大なパーティー会場のような盛り上がり！
お祭り騒ぎ？のフィレンツェからバスに乗り込み、目的地のシエナに向かう。
１時間ほどのバスの旅。
すぐにのんびりした景色に
牧草地、ワイン畑、オリーブ畑、ヨーロッパの田舎ならではの菜園と農地の風景が続く。
あっという間にシエナ到着！
シエナのバス停には会いたかった人が待ってくれていた。
kiyomiさん（ブログプロフィール）
シエナ在住の日本人女性で小規模生産者さんのワインやオリーブオイルを日本に紹介されている。
共通の知人からご紹介いただいたkiyomiさんとはsnsで少しやり取りする程度の間柄。kiyomiさんがブログやsnsにつづるシエナや農園の様子にひきつけられて、ぜひ訪れてみたいと連絡させていただいたところ快諾くださった。
kiyomiさんのブログ
・シエナで乾杯！
あらかじめ私たちが宿泊予定だったホテルの場所もチェックくださっていて、フルーツとジュースを持って待ってくださっていたkiyomiさん。フィレンツェの人混みと濃厚な食事に少々参り気味だった私たちにとっては本当に女神さまに見えた(笑)
チェックインまでお付き合いいただいて、少し休憩後再開することを約束してお別れ。
景色の良いテラスでフルーツ頂戴しました。
１時間ほどの休憩の後、kiyomiさんと再会。
パートナーのイタリア人紳士パトリッツィオさんもご同行いただいて、彼の愛車で少し郊外にある食堂に連れて行ってもらうことに。
素敵なテラス席を用意していただきランチタイム♪
お二人行きつけのお店。メニューや地元食材、裏メニューまで色々解説いただいて贅沢な限りです。
「ワインはすぐ隣の畑で収穫できたものですよ」
うれしい☆
今回、バタバタ旅の中で決行したシエナ行き。滞在時間は、ほぼまる一日のみ。そんなめちゃくちゃな予定に合わせてくださったkiyomiさんとパトリッツィオさん。「シエナの農家さんや自然の様子に興味があるんです」そんな無茶な希望に丁寧に対応くださり感謝してもしたりない。。。
地元の方がシエナを愛する気持ち、地産地消やオーガニック栽培への人々の関心、一度大規模化が進んだ農地を昔ながらの自然な農地に戻していった小規模農家さんの努力、つながりの強いイタリア人ファミリー・・・、農に関することから、一般的なイタリアの方の生活の話まで、いろいろ聞かせていただいた。
驚いたのが、イタリアオーガニックファーマーの中で、私も心の師としている日本人自然農法家の影響が強く存在するというお話。
「日本よりイタリアでのほうが断然有名ですよ」
なんと！？
自分が感じている「自然体な農や食のありかた」を追い求めてヨーロッパまでやってきて、その地の農家が日本人自然農法家の教えを参考にしているとは。。。
若干の矛盾を感じつつも、自分がやってることに少し勇気が持てた事実でもあった。
食事の後、さらに少しワイン畑の方にドライブしてくださった。
ブドウはこれから成長を始める季節。
オリーブの木が適度に混植され、草も自然に残るワイン畑。
ブドウが収穫できる季節にぜひまた訪れてみたい。
お別れの時間。
ホントに親切に案内してくださったお二人。短い時間だったがシエナの魅力をたくさん教えてくださった。
またの再開を誓ってのお別れ。素敵な出会いに感謝でいっぱい。
お別れしてすぐにもかかわらず、次の滞在に思いめぐらす我々だった(笑)
夜、シエナの町をぶらつく。
可愛い自転車が置いてあるデリ発見！
どうも創業当時は自転車の移動販売屋さんだったよう。
シエナの町は坂道と細い路地で構成されているが小さくまとまっていて散策しやすい。素敵な路地が続く。なによりお昼にkiyomiさんにシエナ巡りのポイント教わっていたので安心。
名所までも全く迷うことなく到着
カンポ広場は夜も賑やか
週末なのであちこち遅くまで盛り上がっていた
朝、２日目もカラッと良い天気。
明るくなった町の中を再度散歩。
ほんとに気持ちの良い朝
シエナ大聖堂
カンポ広場で朝ごはん。
マンジャの塔の日陰を拝借。
可愛いお姉さんが働いてたbioのお店(笑)
オジサンたちは井戸端会議に夢中
あっという間のシエナ滞在。お昼過ぎにはバスに乗り込みフィレンツェへ。
ほんとに短いシエナでの時間だったが、kiyomiさんとパトリッツィオさんのおかげで充実の時間を過ごすことができた。
これは私勝手なイメージだが、イタリアの人たちって何だか楽しそうに暮らしているイメージがある(笑)素直に伺ってみた。
「イタリアって若者の失業率高いですよね？でもみんな楽しそうなイメージあるんですけどどうですか？？」
するとパトリッツィオさんおどけながら若者のまねして、
「やったー！今日も休みだー！！」
って、運転しながら両手離して万歳(笑)
もちろん幸せの形は人それぞれ、一般的な答えなどないことではあるが、お二人との会話の中でイタリア流幸福論？のキーワードは「家族」「自然」という言葉だったように感じた。
『「菜園」が担えることはまだまだありそうやな』
そんなことを思いつつフィレンツェ行きのバスに揺られるのでありました。
2015年６月６日